2008-04-07

一億総萌え社会のペーソス:その参

あくまでも個人の戯言なので、真剣に読んで後悔しても悪しからず

「ガンダム」を軸に「世代」の話を続けてみる。
その壱では、「萌え」とは何か簡単に触れた。「ガンダム」で言えば、“いまだに一年戦争がどうとか言っている輩”とは、現役で萌えている輩であるということになる。その弐では、“ガンダムSEEDをガンダム原体験とする世代”が生まれている、ということへの驚きを記した。同じ「ガンダム」という単語を核にしながら、一年戦争世代と、SEED世代では、構成する層がまったく異質であることは、想像に難くない。(重なっている部分もあるだろうが-すくなくとも原体験という意味では、遡及して一年戦争世代が増えることもあるまい。)
何が言いたいのかというと。「ガンダム」は、「ガンダムに強い訴求力を感じる世代」を作り続けているということだ。もっと端的に言えば、「ガンダムに萌える輩」を、30年以上に渡って生み出し続けているわけである。TVアニメのシリーズ放映を核としつつ、漫画やゲームを展開。多くのスピンオフ作品を生み、そしてまたそれらを正史に取り込む。このあたりの手法は、ラヴクラフトと周辺の作家によって補完し合ったクトゥルー神話の成り立ちや、作家同士に競作させるマーヴルコミックスを想起させるものだ。
エンサイクロペディア・クトゥルフ DCvs(バーサス)マーヴル (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ) X-MEN (1) (アメコミ新潮)

つねに新しいガンダムを作り出し、新しい顧客を生み出し続ける-。今や、メディアにガンダムが登場しない日はない。ガンダムがカルチャーとしての市民権を得て、いまや売り上げ500億とも1000億ともいわれる「ガンダム産業」市場を形成した要因は、ここにあるのだろう。ガンダム産業は、ガンダムを冠する作品を作り続け、ガンダムを知る世代を作り続けている。はたして、その戦略はいつまで成功を続けられるのか。
GUNDAM A (ガンダムエース) 2008年 05月号 [雑誌] 僕たちの好きなガンダム アムロvsシャア編 [別冊宝島1521] (別冊宝島 1521 カルチャー&スポーツ) (別冊宝島 1521 カルチャー&スポーツ) 機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威 カードダスマスターズ 機動戦士ガンダム ガンダムクロニクル 0083 両雄激突編 BOX

巨大になり、肥大化し、一人歩きを始めた「ガンダム産業」は、自問したに違いない。そもそも「ガンダム」とは何か。そして、次のように考えたはずだ。
「富野由悠季無きガンダム」は「ガンダム」たりうるのかと-。


⇒その四へ続く。

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